カテゴリ: 過払い金について
過払い返還目的だけの依頼時の注意事項
近年、弁護士・司法書士事務所のテレビCMなどの影響もあり、「過払返還」という行為の認知が、一般的にも広がりました。
中には、特に返済に支障をきたしていないのに、過払返還目的だけで、弁護士・司法書士に債務整理の依頼をする人もいます。
もちろん、この行為自体は、不当に支払過ぎていたお金を返還してもらうという行為なので、全く問題ありません。
しかし、現在、返済に支障をきたしていないのであれば、依頼する前に、そのリスクも含めて、よく検討することをおすすめします。
【いわゆる「コード71問題」について】
かつて、過払い返還請求を弁護士・司法書士に依頼した場合は、指定信用情報機関には、通常の債務整理と同じ「コード32」という事故情報が掲載されていました。
しかし、その後、過払返還請求と通常の債務整理とは、種類が違うということで、過払返還請求については、特に、通常の債務整理と区別するために、「コード71」とう区分が掲載されるようになりました。
しかし、現実的には、この「コード71」という区分が掲載されていると、新たな金融機関での借入れは実質、困難になっていました。
法律で認められた当然の権利(過払返還請求)を行使して、不利益を被るのは、おかしいと、
弁護士・司法書士などが抗議をして、結果、平成22年4月19日より、「コード71」は廃止になり、現在に至ります。
このため、現在は、過払返還請求をしても、指定信用情報機関に掲載されないので、金融機関の審査で不利にならないとされています。
【引き直し計算で残金が残れば、過払返還請求ではなく債務整理になる】
このように、現在は、過払返還請求をしても、他業者にはわからないという建前になっています。しかし、これは、引き直し計算で過払いが確実に発生している場合に限るので要注意です。
引き直し計算をして、残金が残れば、それは、過払返還請求ではなく、債務整理ということになり、指定信用情報機関には、「コード32」という事故情報が掲載されることになります。
また、現在、利用している業者で、どこが過払いになっていて、どこが過払いになっていないかを正確に把握している人は、なかなかいないでしょう。
このように、過払案件をピンポイントで選択して受任を依頼することも、なかなか困難なので、現実的には、同時に他業者も債務整理をすることになるケースがほとんどです。
(既に完済しているものは、確実に過払いなので、それだけ受任してもらうという方法もありますが、まれなケースでしょう。)
【正式受任前に自分で取引履歴を集める】
弁護士・司法書士が正式受任をすれば、引き直し計算で残金があれば、受任の時点で、「コード32」の事故情報が掲載されてしまいます。
このように、過払案件だけを、他社にばれないように、ピンポイントで受任してもらうことは、現実的には、なかなか困難なことです。
どうしてもそれを防ぎたいという場合は、正式受任する前に、取引中のキャッシング会社に取引履歴の開示を個人的に依頼して、その取引履歴を持って、弁護士、司法書士に相談するのが確実です。